整形外科
診療方針
また、平成21年4月からは脊椎外来を再開しました。通常の診療のみならず、新薬の治験や多施設共同研究などの臨床研究、新たな治療法の開発のための基礎・臨床研究にも力を注いでおります。当院臨床研究部で開発した人工骨は米国・欧州でも高い評価を受けております。
診療の特徴
一日平均外来患者数:約80人、一日平均入院患者数:約75人、平成31年度の年間手術件数:494件、そのうち人工膝関節置換術が119件、人工股関節置換術が60件、膝骨切り術が34件、脊椎の手術が108件でした。重症度や年齢によって骨切り術や鏡視下手術などの関節温存手術も積極的に行っております。特に当院で行っている変形性膝関節症に対する骨切り術は、国内のみならず欧米でも高い評価を得ています。リンク(http://hiza-itami.jp/column/)
スポーツ外傷・障害には鏡視下手術やモザイクプラスティー(骨・軟骨移植)を行っており、プロ野球で活躍している選手もおります。関節リウマチは、生物製剤を使用しても症状の改善がみられない場合、滑膜切除や関節形成術のほか、高度関節破壊例には人工関節置換術を施行しております。輸血は自己血輸血を行っております。術後は十分な機能回復を目標とし、リハビリテーション科(理学療法士13名、作業療法士7名、言語療法士3名)と協力し、広いリハビリテーション用スペースを使っての訓練を行っています。
*脊椎の手術
薬物・リハビリ治療で症状が改善しなかった患者さんには身体に負担の少ない脊椎外科手術を行っております。日本脊椎脊髄病学会(http://www.jssr.gr.jp)で認定された指導医が顕微鏡を用いた頚椎手術(図9)や筋肉を温存した腰椎手術、あるいは脊椎圧迫骨折に対するバルーンを用いた低侵襲な後弯矯正手術(図10)を年間137例(H26年度)ほど行っています。必要に応じて専用の内固定材を用いた脊椎インストゥルメンテーション手術 (図11、図12)も行っております。手術後の痛みも少なく、 数日の安静の後に歩行訓練を開始し、数週間での退院が可能です。
また、当院で開発した身長発育速度早見盤(図5:臨床研究部参照)を用いて学校検診などで指摘された学童期の側弯症患者さんの診療も積極的に行っております。
スタッフ紹介
外科系診療部長:熊谷 吉夫 | 慈恵医大整形外科准教授 医学博士 日本整形外科学会専門医 日本整形外科学会スポーツ医 日本整形外科学会リウマチ医 障害者福祉法指定医(運動器) |
整形外科部長:茶薗 昌明 | 慈恵医大整形外科准教授 医学博士 日本整形外科学会・日本専門医機構認定専門医 日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科専門医 日本整形外科学会脊椎脊髄病医 日本整形外科学会運動器リハビリテーション医 日本脊椎脊髄病学会 評議員 日本側湾症学会 評議員 日本脊椎インストゥルメンテーション学会 評議員 AOSpine Japan Delegate 日本スポーツ協会公認スポーツドクター |
医師:種田 雅仁 | 日本整形外科学会専門医 |
医師:生田 匠 | |
医師:朝田 淳史 | |
医師:齊藤 真司 | |
名誉院長(非常勤):田中 孝昭 | 慈恵医大整形外科客員教授 医学博士 日本整形外科学会専門医 日本体育協会スポーツ医 障害者福祉法指定医(運動器) JOSKAS評議員 日本軟骨代謝学会評議員 日本結合組織学会評議員 リウマチの外科研究会評議員 |
医師(非常勤):石川 義久 | 日本整形外科学会専門医 日本整形外科学会認定スポーツ医 身体障害者福祉法指定医 義肢装具等適合判定医 日本整形外科学会研修指導者 |
医師(非常勤):小牧 宏和 | 医学博士 日本整形外科学会専門医 義肢装具等適合判定医 |
医師(非常勤):石塚 謙 | 日本整形外科学会専門医 |
外来診療
月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | |
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午前 |
(1診)田中 孝昭 (2診)小牧 宏和 |
(1診)茶薗 昌明 (2診)種田 雅仁 |
(1診) 熊谷(第1・5週) 田中(第2・3・4週) (2診) 生田(第1・5週) 種田(第2・4週) 熊谷(第3週) |
(1診) 茶薗(第1・3・5週) 石川(第2・4週) (初診のみ) (2診) 朝田(第1・3週) 種田(第5週) |
(1診)熊谷 吉夫 (2診)生田 匠 |
午後 | -- | -- | -- | -- | -- |
*重症度や年齢に応じた膝関節・股関節の手術法
(1) 変形性膝関節症
軽度
鏡視下手術:内視鏡を使用した手術で、傷跡も小さく入院も1~2週と短いのが利点。
中等度
高位脛骨骨切り術:骨切りによりO脚を矯正し、吸収性人工骨を移植することにより骨移植が不要。術後も半数以上で正座が可能です(図1)。
*内側の半月板や軟骨が磨り減ると、膝はO脚になります。これを、健常な外側で体重を支えるように骨を切る手術を高位脛骨骨切り術といいます。すなわち、O脚変形を矯正して幾分X脚にする手術です。この際、足が短くならないようにするのと、骨盤から骨を採取しなくてすむようにするため、吸収性人工骨β-TCPを用いた手術法(約1時間)を当院で開発しております。リンク(http://hiza-itami.jp/column/)
重度
人工膝関節置換術(図2、図3、図4、図5、図6):痛みをとるとともに膝の変形も矯正可能で、自転車に乗ることはできますが、正座はできません。変形の程度や骨欠損に応じて数種類の人工関節があります。
(2) 変形性股関節症
軽度~中等度
臼蓋回転骨切り術(図7)先天性股関節脱臼の後遺症として臼蓋形成不全があります。関節軟骨がまだ残っている場合には骨切り術で治すことが可能。
重度
人工股関節置換術:変形性股関節症、大腿骨頭壊死、関節リウマチなどで関節軟骨がなくなってしまった場合、人工関節手術により治すことが可能(図8)。