「患者様」から「患者さん」へ
平成24年11月
国立病院機構 宇都宮病院
病院や診療所で「患者様」という呼び方を見直す動きが広がっています。「様」呼称は医療界における「患者中心の医療」の流れの中で普及しましたが、「違和感がある」「よそよそしさと冷たさを感じる」「患者に様をつけるのは日本語としておかしい」などの理由から、「さん」呼称に戻す医療機関が増えているのです。
さらに、一部の人の「誤った権利意識」や「変なお客様意識」を助長している、との指摘もあります。当院への投書の中にも「患者様」の呼び方を改めるべきとの意見があり、連携している医療機関からも同様の意見が寄せられています。
このため、本件に関する医療現場の意見も参考にした上で、当院としての見解を下記のようにします。皆様のご理解を宜しくお願いいたします。
記
- 「患者様」という呼称は「患者さん」「患者の◯◯さん」に改める
- 「患者の皆様」「患者の◯◯様」という呼称は用いないが、文章としての使用は特に制限しない
- 院内放送、口頭での呼び出し、掲示物、看板、文書、印刷物等は順次改める
参考資料
- 医療現場における「○○様」という呼び方は、「国立病院・療養所における医療サービスの質の向上に関する指針」の中の「患者との接偶態度や言葉使いの改善」の項目で、『患者の呼称の際、原則として姓名に「さま」を付することが望ましい』という通達があり、全国的に広まった(平成13年 厚生労働省)
- 「患者」という名称は「患った者」という意味であるため、この言葉に尊敬語である「様」をつけるのは日本語として問題がある(平成18年 京都大学病院)
- 「患者様」という言葉に違和感を通り越して強い不快感を感じるのは、「様」という丁寧な呼び方に見合った扱いを受けているのかどうか、という疑問があるからだ(平成18年 読売新聞)
- 患者へのアンケート調査によると、「患者さん」で十分という意見が7割に上る(平成19年 西日本新聞)
- アンケートの結果、職員・患者とも「さん」の方が身近で親しみを感じる、という意見が多かった(平成19年 朝日新聞)
- ホテルにおける客と従業員との関係とは異なり、患者と医療者は対等な関係であるべき(平成21年 群馬保険医新聞)
- 医師を対象にしたアンケート調査では、約7割の医師が「患者様」という呼び方に違和感があると回答した(平成24年 日経メディカル)